負け癖
元400mハードルの陸上選手で世界選手権で2度、銅メダルを獲得したことのある、為末大さんの『逃げる自由』と言う本を読んだ。
為末さんは、著書やTwitter、コラムなどで哲学的な話や心理的な話をされているのが好きで本を買って読むことが多いんです。
今回の本はネット上のコラムで読者の質問に対して回答しながら話を進める内容でしたが、ガツンと響く話がありました。
勝負をしなければならない人を対象とした話ですが…以下引用>
『負け癖』
負け癖は二つに分けることができる。
本当に負け癖のある人は、実は負けることがあまりない。というのも彼らは勝負自体をしていないので、明確な勝ち負けというのを明かにしないで生きている。勝負というものは遠くの誰かがやっているもので、自分の人生とは無縁であると思っている。つまり勝負はおろか、勝負というアイデアが人生にない。
これが、敗北への定着
そしてもう一つが、勝利への躊躇
勝負をしようとしているけれど、勝ち切れない人に当てはまる。ずっと手に入れたかったものが本当に手に入りそうになるとき、人は恐れ、戸惑い、緊張する。これを乗り越えてようやく勝利し、それを繰り返すことで勝利に慣れ始めるのだけれど、負け癖のある人はこれを乗り越えられない。つまり勝利につまずいてしまう。
やっと勝利が手に入りそうだという瞬間、さまざまな迷いが生まれる。かなりの確率で手に入りそうな状況で手にできなかったら一生後悔するのではないか、ライバルが仕掛けてくるんじゃないか、いろんな考えが頭に浮かび、勝利を手に入れることが現実になりそうになればなるほど、緊張し、動きが自然でなくなる。そして何かのきっかけで動きが滞り、勝利をさらわれる。
この負け癖を克服するには、小さくても勝利するしかない。自分に自分を信用させるために勝ちを積み重ねることで負け癖が取り除かれる。現実の勝利を積み重ね、それによって次第に勝負どころで実力が出せるようになる。
<引用ここまで。
いつからだろう…自分にも負け癖がついていたようです。
人と比べなくてもいい、争わなくてもいい、そんな環境に身を置いていましたが、いざ勝負をしようとしたときに、気が付けば勝負という発想すらなくなっていました。
そして勝負をすると、手のひらから勝利がこぼれる。取り逃がしてしまう。そんなことが続きました。
昔はバイクでレースをやっていたぐらいなので、勝ち負けにこだわって、どんなことでも人に負けたくない!そんな気持ちも持っていたはずです。
誰かのものを奪う勝負には興味はありません。勝者が一人しかいない勝負にも参加しようとは思いません。
ただ、自分の人生の勝負は、ここぞという時には勝ちたいと思います。そのためにまずは負け癖を取り除くために、小さな勝ちを取りに行く必要も感じました。
冒頭にも書きましたが、この話を勝負をしなければならない人に向けてです。勝負をする必要のない環境や勝負に興味がなければ、気にすることはないと思います。
もう1冊、同時に購入した『限界の正体』これもなかなか面白い本です。また今度こちらの本も紹介します。